漫才「武士2」
二人:はいどうもー!オフ・コースです、よろしくお願いします。
藤井:早速ですが、俺ね昔の武士が好きなんですよ。
大賀:その言葉本気か?
藤井:疑うなよ!ただ好きだって言ってるだけだろ!
大賀:あぁ、ごめんごめん。「武士に二言はない」んだもんね。
藤井:なんで俺を武士だと思った!?間違える要素ないだろ!
大賀:で、武士の中で特に好きな人とかいるの?あ、もちろん「自分」はなしでね。
藤井:だから俺は武士じゃないって言ってるだろ!
まぁ一番好きなのは「織田信長」かな。
大賀:ああ、別名「ジャイアン」って言われてる人ね。
藤井:言われてねぇよ!
大賀:あれ、「信長リサイタル」が有名じゃなかったっけ?
藤井:聞いたことないわ!大体信長が何を歌うんだよ!
大賀:そりゃもちろん、『♪おーれーは信長ー戦国武将ー』
藤井:ジャイアンの歌のパクリじゃん!そんな歌、歌うわけないだろ!
大賀:『♪てーんかむーてきの おーとこかな?』
藤井:聞くなよ!そこは信長なんだから自信持ってくれよ!
大賀:だって家臣ののび…あ、光秀に追い詰められただろ?
藤井:わざとらしく間違えるな!
大賀:『光秀め〜!今度見つけたらメッタメタのギッタギタにしてやる!』
藤井:だからそんなこと言わねぇよ!お前信長の事知らないのか!?
大賀:知ってるわ!信長と言えば本能寺の変とか、楽市・楽座とか…
藤井:なんだ、結構知ってる…
大賀:あとは、野球好きだとかかな。
藤井:待て待て!信長の時代に野球なんてないだろ!
大賀:でもさ、武士が野球で決闘してたら面白いと思わないか?
藤井:思わねぇよ!野球で決闘ってどんだけ平和な時代だよ!
大賀:『謙信!今日こそお前からホームランを打ってやる!』
藤井:勝手に始めちゃったし。
大賀:『ふっ、信長ごときに打てるわけがなかろうが。』
藤井:上杉謙信との決闘か。
大賀:『よし、謙信!まずはルールを教えてくれ!』
藤井:ルール知らないのかよ!最初の会話からして、知ってるものだと思うだろ!
大賀:『なになに、「ぼうる」というものを打って飛ばせばいいのか。』
藤井:素直に「ボール」って言えよ!「ルール」とか「ホームラン」とかはスムーズに言えてただろ!
大賀:『で、それを打つものは…あ、こんなところに長い棒があるぞ。』
藤井:「バット」は、もはや長い棒呼ばわりかよ!
大賀:『長い棒があるということは…そ、そうか!手でボールを打つんだな!』
藤井:んなわけないだろ!何が「そ、そうか!」だよ!バットがあるんだからバットを活用しろ!
大賀:バット、バッター、バッテスト。
藤井:違うわ!誰が英語の活用形を言えと言った!
大賀:『ふむふむ。このバットでボールを打てばいいのか。で、ボールが届くまでの距離はどのくらいだ?』
藤井:ああ、マウンドからの距離ね。確か大体18mくらい…
大賀:『なに。一里もあるのか。』
藤井:あるわけないだろ!「里」って届くまでに何分かかるんだよ!
大賀:『マウンドが尾張の国で、バッターボックスが越後の国か。』
藤井:曖昧過ぎるわ!なんで範囲が昔の国単位なんだよ!
大賀:『他に注意事項は?ふむふむ、鉄砲玉が頭に当たったらデッドボールか。』
藤井:なんで鉄砲取り入れてるんだよ!死球で死んじゃうだろ!
大賀:『アウトになったら島流しされるのか。まさに他国へゴーアウトってわけだな。』
藤井:ちょっとうまいことを言うな!
大賀:『それから…ラッキーセブンの7回は、ちょんまげフェア実施中だって!?』
藤井:「かい」が違うだろ!ちょんまげ大好きなデパートみたいになってるだろ!
大賀:『さらに「0」の付く打順はポイント5倍か!?』
藤井:それもデパート!お客様感謝デーみたいなことをするな!大体「0」のつく打順なんてないだろ!
大賀:『最後に…え?この国を統一出来る方法があるって!?』
藤井:野球で天下統一!?そんな方法があるか!?
大賀:『なるほど、ホームランを通算869本打てば「王」を超えるのか。』
藤井:それは、王は王でも貞治だ!もうルールは良いから、さっさと試合をしろ!
大賀:『来い、謙信!この一打席に俺の全てを賭ける…。』
藤井:やっと元の話に…
大賀:『ここでホームランを打って、俺が率いるジャイアンズに勝利を…』
藤井:ってまたジャイアンかよ!もうやめやめ!どうして信長の話からそんな話になっちゃうんだよ!
大賀:やっぱり対戦相手の謙信が、武士じゃなかったのが問題かな。
藤井:はぁ!?謙信は武士だろ!
大賀:だって「謙信」の字には『二つの「言」』が入ってるだろ。だから「武士に『二言』はない」ってね。
藤井:もういいよ!
大賀:はい、俺たちもちろん!
藤井:オフ・コース!
二人:どうもありがとうございました。